2007年12月25日火曜日

08年 続・婚礼業界と婚礼媒体 2 | 株式会社CDM

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Ⅰ.婚礼業界の「混迷期」とは?

-1) 鍵を握るWEB広告
 何がどのように変わるのか?これまで多様化してきた婚礼業界において鍵を握るのはWEB広告です。まずはWEB媒体を運営母体のタイプ別に整理します。

 イ)ポータル型広告(雑誌連動型)
 『ゼクシィnet』『BRIDES WEDDING net』『けっこんぴあnet』『OZ-mall』『WEDDING HILLS』 ・・・
 書店を窓口にしたリアル世界への訴求効果は絶大である。ただし、WEB媒体の対象顧客は小規模市場。雑誌媒体の対象顧客(広告売上)が足枷になりWEB媒体へのドライブはかかりにくい。

 ロ)ポータル型広告(WEB専業型)
 『WeddingWalker』『WeddingPark』『ぐるなびウエディング』 ・・・
 雑誌媒体が取り込めない小規模市場もWEB媒体では告知の切り口次第で無限の可能性を持つ。ただし、リアル世界への訴求方法と対象市場の絞込みが課題。

 ハ)配信型広告
 『AdWords』『Overture』 ・・・
 費用効率が計算できる点では「クリック数」を基準とした「新婚礼エージェント」とも言える。現状では数社の企業がたいへん上手に活用している。ただし、今後多くの結婚式場が参画してくるとキーワードの選定や組み合わせに専門的な知識が必要になる。雑誌媒体のように投下量を増やすだけでは逆に費用効率が悪くなる可能性も考えられる。

-2) 婚礼業界におけるWEB広告の特徴
 ポータル型広告は雑誌広告の延長にあり理解しやすいタイプです。スペースを買うという考え方が一般的でその大きさや露出される場所、期間によって料金が決まっています。
 また雑誌連動型は、雑誌媒体のイメージやブランドをそのままWEBでも利用していますので、WEBサイトに集まるカップルは結婚式を実施することが前提で、かつ「挙式と披露宴」という既存の結婚式スタイルをイメージしているカップルが大半を占めるという特徴があります。
 一方WEB専業型は、『WeddingWalker』が「拡散期」に入ったきっかけを作ったように同じポータル型広告でも、「披露宴はせずに挙式だけで十分」「写真だけ残しておきたい」などの結婚式に消極的なカップルや、何らかの事情で既存の結婚式スタイルを避けたいカップルを取り込んでいることが特徴です。これはイメージやブランドを持たずにスタートできた点に要因があります。

 配信型広告は広告コピーに含まれるキーワードを購入するスタイルです。クリックされた回数と露出位置によって料金が決まります。露出位置はよりクリックされやすい場所ほど高く、その料金は競売形式で決定することが一般的です。広告はその内容と関連性の高いサイトを自動的に抽出した上で表示したり、検索エンジンの結果に連動して表示されるため、あらゆるタイプのカップルに伝達する可能性を持っています。費用効率がよいといわれるのはこの点です。
 「結婚式」というキーワードは競争が高く料金も高くなります。逆に「海外挙式」というキーワードは競争が少ない分料金も安くなります。「フォトウエディング」というまだ一般化していないキーワードだと更に競争が少なく料金も更に安く済みます。
 ここで理解していただけると思いますが、配信型広告は圧倒的に小規模事業者に有利な特徴を備えていることが大きな特徴なのです。

-3) 「混迷期」とは・・
 小規模事業者に有利な特徴を備える媒体ということは、どこでどんなサービスが支持されているかが把握しづらい状況を生む媒体ということを意味します。たとえどんなに小さな事業でも、そのような市場が100も200も誕生すれば、既存の婚礼業界はたちまちシェアが下がっていくと予測できます。逆にこれまで低単価商品を扱う婚礼業界は積極的に広告宣伝をする機会を得たことになります。今まで私たちが考えもしなかった商品やサービスが誕生することになるでしょう。それは1~2バンケで新市場をこじ開けたかつてのレストランウエディングやハウスウエディングが証明しています。
 今後考えられる小さな新市場の例を告知手法とともに仮説としてあげてみます。

 仮説)
 既存商品(告知)+新市場の獲得で、海外挙式売上が今後数年で倍増する
 その告知手法)
 セレブ気分の「ドバイウエディング」。ピラミッドで愛を誓う「カイロウエディング」
  →大手が参入しない年間数十組の市場
 旅行と写真だけはしておきたいカップル向け「ハネムーン&フォトウエディング」
  →既存の結婚式に消極的な層を対象にした市場
 再婚カップル向け「再婚の誓いこそ恋人岬を望むチャペルで」
  →これまで対象として捉えきれなかった結婚式に消極的な層
 親に白無垢姿を。「出発前・帰国後 和装フォトウエディング」
  → オプション商品の告知で既存商品へ誘導可能な層
 ※あくまでもアイデアレベルで実現可能かどうかは度外視しています 。

 など、年間数十組を狙える市場を掘り起こしたり、カップルの嗜好を「海外挙式」という一言に留めるのではなく、更に一歩深い切り口のキーワードを配信していけば、様々な小規模市場が生まれると考えています。

 では既存の婚礼業界の将来がが暗澹たる世界なのかといえばそれは違います。1つの商品の良さを様々な切り口でカップルに訴求することができればWEB広告を有効に活用できると考えます。
 例えば、披露宴集客では平均的な60名のパーティを想定してそれだけを大量に告知するのではなく、数は少なくとも100名以上や30名以下のパーティを細かく定義付け、更に配信型広告に対応できるようにキーワードに変換する。30名以下の披露宴は「親族会食」「写真だけの結婚式」など。本来受注したい商品までの入り口と考えてキーワードを選定すれば既存のカップル以外の売上を伸ばすことが可能になると考えています。

 「混迷期」とは、資本力に依存しなくとも新しい市場が誕生する時期だと考えます。

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