2007年12月24日月曜日

08年 続・婚礼業界と婚礼媒体 1 | 株式会社CDM

★過去のCDMレポートはこちら→ http://www.wearecdm.jp/report/

 はじめに

 今私は、私自身が経験する婚礼業界と婚礼媒体の三度目の転換期の真っ只中に立っていると考えています。 そしてこのレポートは今回の転換期を千載一遇の商機と考える婚礼業界の方々へ向けて、どのようなチャンスがあるのかを整理したいと考えています。

 そもそも結婚式は家で挙げることが通例でした。挙式と披露宴を一対とした現在の結婚式スタイルが始まったのは、日本人ではじめて大正天皇が神前式を挙げた1900年以降です。結婚式ビジネスの原点がここにあると考え、このレポートでは商業化した結婚式を「現代結婚式」と定義付けたいと思います。更に大正天皇の結婚式も、大正時代に帝国ホテルが始めて挙式と披露宴をホテルに取り入れたことも、昭和30年代以降に結婚式の商業化が劇的に発展したことも全てをひとまとめにして、「現代結婚式の黎明期」と定義したいと思います。

 婚礼媒体の視点から「現代結婚式の黎明期」を考えると、ホテルウエディングも結婚式場でのウエディングも両者とも、「ある関係性を共有する人々の中での口コミからマスメディア(ただし狭域地域限定)へ移行したことで商業化が進展した時代」だと考えます。日本(というか都市部に)にホテルが量産されるのは昭和39年の東京五輪がきっかけです。それ以前は一部の特定の層しかホテルを利用できなかったということです。互助会も仕出し屋を含めた飲食店も、土地土地に存在する地域コミュニティ内だけの存在でした。つまり「現代結婚式の黎明期」の婚礼媒体は、地域コミュニティ内における口コミからマスメディアへの移行期であり、現代結婚式史上初めて媒体(メディア)が誕生した時代だといえます。

 次に大きく転換するのが、婚礼エージェントの誕生から衰退までの期間だと考えます。日本全国に現代結婚式が本格的に拡大していく「成長期」と定義したいと思います。親類縁者を招待し挙式と披露宴を開催するという現代結婚式のスタンダードが日本に定着した時代です。その意味では婚礼エージェントの役割は大変大きいものだったと思います。また、結婚式場探しのための雑誌媒体が誕生した時代でもあります。

 そして『ゼクシィ』創刊以降、『WeddingWalker』サービス開始までの期間を「拡大期」、それ以降を「拡散期」としたいと思います。「拡大期」にはレストランウエディングやハウスウエディングが急成長した反面、それまで成長を続けてきたホテルや結婚式場での結婚式の実施シェアは頂点から右肩下がりの曲線に移行しました。雑誌媒体が様々な出版社から創刊され全国の書店に行き渡った全盛期でもあり、これにより婚礼エージェントが衰退しました。「拡散期」にはWEB媒体の登場で集客のための広告コストが下がったことやカップルが主体的に自らの体験を不特定多数に発信できるようになり、「10万円以下挙式場」や「60名以下の結婚式」などの小規模市場がたくさん誕生しました。

 今回のレポートはその後の予測を中心に展開したいと考えています。

※「現代結婚式の成長期、拡大期、拡散期」については「婚礼業界と婚礼媒体」http://wearecdm.blogspot.com/2007/12/blog-post.html を参照ください。
レポート「婚礼業界と婚礼媒体」を最初に書いたのは06年2月。その後何度かの修正を加え現在のレポートに至る。

 2005年3月 『Overture』のサービス開始以降
 再婚・結婚式消極派カップルを巻き込んだ競争時代への転換期

 後の時代からこの時代を振り返ると「現代結婚式の拡散期」に含まれるかもしれませんが、婚礼業界の実態がより混沌(どの結婚式場が何組実施しているのかが把握しにくい)とした時代への移行という点と、同じように婚礼媒体の実態も混沌(どの結婚式場が何の媒体にどのくらいコストをかけているかが把握しにくい)とした時代へ移行しているという点で、前時代とは全く異質な時代と考え一線を置きたいと思います。

 『Overture』や『Adwords』は配信型の広告手法(他の多くのサイトを媒体にして告知)で、これまでのポータル型の広告手法(特定の集客力のあるサイトに告知)と違い、どこでどのようなサービスや業態がカップルに支持されているのかが掴みにくいのが特徴です。成功事例がなかなか表面化しないのです。

 これからの数年を「混迷期」と呼びたいと思います。

 現代結婚式…商業結婚式のはじまり以降

 黎明期・・・ 大正天皇の結婚式以降 。婚礼媒体の誕生
 成長期・・・ 婚礼エージェントのサービス開始以降
 拡大期・・・ 『ゼクシィ』創刊以降
 拡散期・・・ 『WeddingWalker』サービス開始以降
 混迷期・・・ 『Overture』サービス開始以降

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